垂水商店街には多くの店舗がありますが、全国的な傾向と同様に特に飲食・食品小売り店舗では人手不足の状況にありました。また、障害者など働きづらさを抱える方々にとって、地域での就労の機会が少ないことも課題でした。
そこで、超短時間雇用を活用して、人手不足を解消するとともに、障害者など働きづらさを抱える方々の就労の機会を創出することに挑戦することにしました。そのなかでまず、どうやって超短時間雇用について地域に知っていただくかという課題に直面しましたが、超短時間コーディネーターを中心に地域に根差したアプローチを行い、商店街と信頼関係を築いていくなかで、店舗も障害者も双方がwin winとなるような事例をつくっていくことで取り組みを広げていくことができたと思います。
障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重しながら、ともに暮らすことのできる社会を実現する一歩として垂水商店街でのこの取り組みから得たものを他の地域でも、広げていきたいと考えています。
商店街での初めての超短時間雇用。お店の椅子の脚を磨く作業を週に1時間行いました。店主さんはお店の雰囲気に合わせた什器なので新しいものにするのではなく、今あるものをキレイにしたいと思っていましたが、忙しくて手が回らない仕事でした。
コツコツ作業していただいて最終的にはお店にある椅子全て完了しました。
店主さんは、いつか通信販売をやりたいと思っていたけど、日々忙しすぎて新規事業に手がつけられていませんでした。
当初は店主さんが通販サイトの企画案を考える時間を作るために、これまで自分でやっていた伝票入力の作業を超短時間雇用で依頼しようと考えていましたが、ホームページ制作のスキルのある方が就労希望者の中にいたので、実際のホームページ制作の作業にマッチングされ、早くも店主さんの願いが叶いました。
街で人気のパン屋さんで、店主さんはパン製造から経営まで大忙しでした。定番商品から新商品も次々に販売しており、独創的なパンも販売しているので、店主さんはお客さんの顔を見たいから、客先に立つ時間も作りたいと常々思っていました。
そこで、まずはデニッシュパンの成型作業を週に1時間だけ依頼することにしました。このお店ではこの他に伝票入力の作業も超短時間雇用で依頼するようになり、様々な人が活躍しています。
老舗のお寿司屋さんで、常に人手不足でアルバイト募集をずっとしてきましたが、なかなか見つからず、困っていました。
そこで特定業務だけで雇用する超短時間雇用のスタイルならば障害のある方でも働けることを知り、早速どのような仕事が良いか考えました。最初に雇用されたのは穴子を焼く作業、そして次にシャリ炊き作業を依頼することにしました。
どちらもこのお店で欠かせないもので、働いている人もお客さんが美味しかったと言っている姿に充実感を感じて働けています。
就労支援事業での実習先が足りないことにずっと困っていました。一方で普段から利用する近くの商店街では働き手不足や後継者不足に悩んでいる実状を知り、そこをつなげたいと思いました。まずは自分が商店街の店主さんが加入している組合の一員になって、商店街をどう活性化していくかを一緒に考えるメンバーになろうとしました。
最初は街の清掃活動に入ったり、コミュニティー雑誌に記事掲載をしてもらったり、商店街の人たちと話せる機会つくりながら、外部の人間として話をしに行くのではなく、仲間になることからやっていきました。
それから、私たちが障害者の就労支援機関であって、超短時間雇用のような新たな働き方に取り組んでいることを話して、まず一つの雇用事例をつくることから始めました。 そこで店主さんが雇用して良かった、助かったという経験をしてもらえたら、他のお店にも広がることは確信していました。やっぱり、外の人間が何かを提案するのではなく、自分たちが地域人としてこの地域をどうしていきたいか、その想いを語り共有することが商店街での展開において大事な第一歩だと思います。
超短時間雇用を地域内の一般企業に創出するだけではなく、商店街での雇用創出や、就労継続支援B型事業などの福祉サービス併用を、超短時間雇用で働く労働者に認めるといった新たな仕組みを取り込んだ事例。
神戸市では、多様な働き方の創出を地域の企業や商店街の皆さんとともに取り組むことで、あらゆる人が活躍するまちの賑わいづくりにも取り組んでいます。